2023.09.27

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【企業向け】ワーケーションの基礎知識から実施事例までを解説

「働き方改革」や昨今のコロナ禍の影響でリモートワークが進む中、時間と場所にとらわれない働き方として注目を集めているのが、ワーケーションです。

ワーケーションは、働き手のワークライフバランスや生産性の向上、企業に対するエンゲージメントの向上など、ポジティブな効果が期待できます。

しかし、これらのメリットを両者が享受するには、ワーケーションに合う就業規則の策定や、スムーズに運用していくためのルール作りが重要です。

本記事ではワーケーションを行う際の目的、注意事項から実施事例までを解説します。

ワーケーションの導入を検討中の企業のご担当者様にとって参考になれば幸いです。

ワーケーションとは

ワーケーションとはワーク(Work)とバケーション(Vacation)を組み合わせた造語で、普段の職場と異なるリゾート地や観光地で余暇を楽しみつつ仕事することをいいます。

場所にとらわれずに仕事を行うスタイルとして注目されているワーケーションは、ノートPCやインターネットが急速に普及した2000年代からアメリカで提唱された働き方です。

日本では、2017年頃からワーケーションという考え方が登場しましたが、普及し始めたのたのは、近年のコロナ禍の影響も要因の一つと言われています。

リモートワークという働き方が浸透したことや自治体の観光客・移住者誘致のニーズが高まっていることから、ワーケーションを導入する国内企業が増えています。

ワーケーションの種類

ワーケーションは大きく分けると、休暇型ワーケーションと業務型ワーケーションがあります。

それぞれどのような特徴があるのか、以下で解説します。

休暇型ワーケーション

休暇型ワーケーションは、休暇が主目的である点が特徴で、福利厚生の一環として取り入れられるケースが多いです。

たとえば、有給休暇を組み合わせ、リゾート地や観光地に長期滞在してテレワークを行うなどが休暇型ワーケーションにあたります。

業務型ワーケーション

業務主体のワーケーションについて、以下の3タイプに分けることができます。

●地域課題解決型

●合宿型

●サテライトオフィス型

それぞれ紹介します。

地域課題解決型

地域関係者と交流することで、地域課題の解決策を共に考えるワーケーションのことです。

地域課題解決型のワーケーションは、企業のSDGsへの取り組みや、地域での課題解決を通じた人材育成、地域との新規事業の創出など様々な観点から注目されています。

合宿型

オフィスとは異なる環境に滞在し、議論やグループワークを行うワーケーションです。

また、運動会屋ではCAMPiece(キャンピース)という廃校を利用したキャンプ場を日本各地に提供しています。キャンプギアを豊富にご用意しておりますので、手ぶらでキャンプを実施することも可能です。

参考:CAMPiece|https://campiece.com/

サテライトオフィス型

企業が設置しているサテライトオフィスや、一般的なシェアオフィス、コワーキングスペースなどを利用してリモートで業務を行うワーケーションです。

近年では「自宅やオフィス以外の環境で集中して仕事をしたい」という社員のニーズに応えるためにサテライトオフィスを開設する企業や、シェアオフィスとの法人契約を行う企業も増えています。

ワーケーションがもたらす効果

ワーケーションは、以下の5つの効果が期待できます。

●生産性の向上

●コミュニケーションの強化

●有給休暇の取得促進

●採用力の強化

●リフレッシュ効果

それぞれ説明します。

生産性の向上

普段のオフィスと違う環境に身を置き仕事をするワーケーションは、社員のモチベーションアップにつながります。

株式会社NTTデータ経営研究所・株式会社JTB・日本航空株式会社の3社が連携し、ワーケーションの効果検証を2020年に実施しました。検証の結果、ワーケーションの実施中の仕事のパフォーマンスが20.7%上昇し、終了後も5日間効果が持続したということが分かっています。

このことからも分かるように、ワーケーションは仕事の生産性向上に期待できるといえるでしょう。

コミュニケーションの強化

ワーケーションは、コミュニケーションが生まれやすくなるというメリットもあります。

例えば、ワーケーションでは食事や温泉を共にするなど仕事以外で時間を共有できます。

普段のオフィスとは異なる環境ならではのシナジー効果も期待できるでしょう。

有給休暇の取得促進

日本は有給休暇取得率が低いことが知られていますが、社員の有給取得の推進にもつながると期待されているのがワーケーションです。

例えば、ワーケーションのために観光地に行き、勤務日の後に有給休暇を利用することで、観光地に長期滞在できます。

有給休暇が取得しやすい環境が社内に整うことは、社員の働きやすさにもつながるでしょう。

採用力の強化

近年の労働生産人口の減少により、人材の確保は企業にとって大きな課題となっています。

ワーケーション導入は、柔軟な働き方を求める人材にとって魅力的な制度です。

特に、自律的に働ける優秀な人材ほど柔軟な働き方ができる企業を選択する傾向にあることから、ワーケーションの導入は採用力を高める効果があるといえるでしょう。

リフレッシュ効果

オフィスでは同僚や上司に声をかけられる、電話が鳴るなどで集中できない場合もあります。

しかし、ワーケーションを活用することで、リラックスできる場所や職場から離れた場所で自分のペースで仕事ができるため、ワークライフバランスの向上や心身のリフレッシュにつながるでしょう。

ワーケーションでリフレッシュできれば、オフィスに戻った後も新たな気持ちで業務に取り組めます。これにより新たなアイデアが生み出されるきっかけになるでしょう。

ワーケーションのデメリット

ワーケーションを導入するデメリットとして挙げられるのは、以下の2点です。

●仕事とプライベートのバランスが取りづらい

●セキュリティ面でのリスクがある

それぞれ説明します。

仕事とプライベートのバランスが取りづらい

ワーケーションは、リフレッシュや生産性の向上につながるメリットがある反面、「仕事とプライベートの線引きがあいまいになる」という声もあります。

確かにリゾート地で仕事をするワーケーションでは、仕事をする気分にならないかもしれません。中には、「休日まで仕事をさせるのか」という否定的な意見もあります。

しかし、これにはワーケーションに対する誤解もあるようです。

働き方の多様化が進む中で、少しずつリモートワークが普及しはじめ、コロナ禍をきっかけに急速にリモートワークの普及が加速しました。

リモートワークは、オフィスでの勤務とは異なり、パソコンと通信環境さえ整っていれば仕事ができるため、場所を問いません。

そこで、開放的なリゾート地のワーキングスペースなどで心地よく勤務して、生産性アップやリフレッシュ効果に期待できるワーケーションを取り入れる企業が増えているという経緯があります。

例えば、ワーケーションするリゾート地で翌週を休暇としてつなげれば、新たな休暇のための空間移動をしなくてもすぐに休暇に突入することができます。そんな考え方が「ワーケーション」の基本です。

また、そうした休暇をベースに働く時間を自分の裁量でプラスするワーケーションは、させられるものではなく、働き手の判断に任されるものになりますので、無理に行う必要はありません。

働き手の状況に応じて休み方を選べるようになるため、より自律的な働き方が求められるようになるでしょう。

セキュリティ面でのリスクがある

ワーケーションでは、オフィスでの勤務以上にセキュリティ対策が重要です。

例えば、フリーWi-Fi利用による情報漏洩や、PC・スマートフォンなどのデバイス紛失など、注意すべきセキュリティリスクは多くあります。

セキュリティソフトの導入やセキュリティガイドラインの周知・徹底など、ワーケーション時にも安全に業務を行えるようにセキュリティ体制の整備が必要です。

セキュリティ対策としては、次の対応が挙げられます。

●セキュリティソフトを導入する

●OSやアプリケーションは常に最新の状態にしておく

●端末のアクセス制限やデータ保護を実施する

●VPNによる通信の暗号化を行う

●二段階認証など多要素認証を取り入れる

●ポケットWi-Fiを貸与して公衆Wi-Fiの利用を不可とする

この他にも、社外に持ち出し可能な資料や端末を決めておくことで被害を最小限に抑えることができます。

企業のワーケーション導入事例3選

ここからは、ワーケーションの推進に取り組む企業の事例について紹介します。

日本航空株式会社(JAL)

日本航空は、有給休暇取得率の向上を目的に、2017年から休暇利用中に仕事を行うテレワークを可とする休暇型ワーケーションを導入しました。

これにより長期休暇を取ることによる抵抗感を減らし、復帰後の業務量が増えることへの不安を軽減することができたとのことです。結果として、有給休暇取得率の向上を実現しました。

参考:官公庁|ワーケーション&ブレジャーの導入・推進企業のご紹介>日本航空 https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/corporate/case/jal/

ユニリーバ・ジャパン株式会社

ユニリーバ・ジャパンでは、2016年に働く場所や時間を選択できる新しい働き方「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」を導入しました。

2019年にはワーケーションをさらに推進するため、「地域deWAA(Work from Anywhere and Anytime)」という独自のワーケーションを導入し、2022年3月時点で8つの自治体と提携しています。

地域deWAAでは、各地域の施設を利用でき、業務外の時間を使って地域のイベントやアクティビティへ参加が可能です。また、地域課題解決に貢献する活動を行うことで定型宿泊施設の宿泊費が無料・割引になるといったワーケーションを促進する仕組みが整備されています。

参考:ユニリーバ・ジャパン|地域 de WAA https://www.unilever.co.jp/planet-and-society/be-yourself/chiiki-de-waa/

ヤマハ株式会社

ヤマハでは、音響分野で培った技術を活用したソリューションで「ハイブリッド型ワークスタイル」を提唱・実践しています。

「ハイブリッド型ワークスタイル」は企業のテレワーク推進を後押しするとともに、柔軟で生産性の高い働き方として、オフィスはもちろん、自宅やカフェでの勤務のほか、リゾート地などでのワーケーションも行われています。

参考:ヤマハ|テレワーク × オフィスワークのハイブリッド型ワークスタイルを考える https://sound-solution.yamaha.com/solution/hybrid_workstyle

ワーケーション導入の注意点

ワーケーションを導入する際の注意点は、以下の3つです。

●作業・通信環境を事前に整備する

●就業規則を見直す

●必要経費を把握しておく

それぞれ順に解説していきます。

作業・通信環境を事前に整備する

ワーケーションは、従来とは異なる働き方を行うため、社員が問題なく仕事を行う環境を整備する必要があります。

あらかじめ作業環境や通信環境の整った施設を選んでおきましょう。

最近はワーケーションを積極的に誘致している自治体も増えています。

リモートワークで使用できるワーキングスペースを充実させたり、地方ならではの暮らしを体験できるアクティビティを設けたりと、企業や個人のワーケーションを積極的に受け入れる体制を整えています。

仕事をする環境が整っていれば事前に準備するものも少なく済みますので、ワーケーションを推進している自治体から選択するのもよいでしょう。

就業規則を見直す

ワーケーションは形にとらわれない自由度の高い就業方法として、福利厚生としての活用もできる有効な手段です。しかし、従来の働き方とは基準が異なりますので、会社の就業規則を見直す必要があります。

特に、労働時間の管理をどのように行うかについて検討することは重要です。

例えば、所定労働時間が9:00〜17:00の場合、観光中の時間は労働時間になりませんので、終業時間を18:00までとするなど、その分の時間を繰り下げる必要がでてきます。

社員からすれば、一日の労働時間を満たすためには終業時間を繰り下げるなどの工夫が必要になるため、ワーケーション中であっても柔軟に観光ができないことになります。

そうした問題を解決するには、フレックスタイム制やみなし労働時間、裁量労働制などの柔軟な労働時間制を導入することになるため、就業規則の改定や労使協定の策定・届出などが必要です。

また、就業規則などを見直す場合には、ワーケーションができる部署とできない部署での対立が起きないよう、関係各位を含めて議論や周知を徹底していきましょう。

必要経費を把握しておく

社員へのノートPCなどの支給やインターネット環境の整備など、導入コストがかかってきます。

また、ワーケーションを利用する社員との円滑なコミュニケーションのために、オンライン会議システムやチャットツールの導入も必要です。

また、業務の進捗管理をするためのプロジェクト管理ができるシステムの導入も必要になります。

ワーケーションを導入する上で必要になる経費についても事前に把握しておきましょう。

まとめ

今回は、ワーケーションについて、目的やメリット・デメリット、注意点から企業の事例まで詳しく解説しました。

多様な働き方が生まれている中で、ワーケーションは今後さらに普及すると予想されています。

ワーケーションは、仕事の生産性アップやリフレッシュ効果などメリットの多い取り組みです。また、ワーケーションを実施した企業の成功事例は多くあり、積極的にワーケーションを推進する自治体もあります。

また、多くの成功事例や効果検証の結果から、ワーケーションは企業の働き方改革の推進や組織力の向上、社員の満足度向上に大きく期待できることが分かっています。

本記事でご紹介した企業の事例やポイントを参考に、ワーケーションに取り組み、社員の満足度や組織力のさらなる向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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